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名刺博物館・特別寄稿エッセー

名刺博物館:その3
そ の

・・季 里・////

空港の匂い


北の方からは着陸出来ない。大きく回って金浦国際空港に着いた。入国審査で列を作っていると、やはりキムチの匂いがした。更に生のにんにくも合わせた様な、独特な香りである。

各国の空港は各国の匂いがすると言う。ちなみに、成田空港は未だ表現に悩んでいるが、あえてまとめると麹の匂いであろうか。いろんなカビや味噌汁、そして酒が混じった香りである。その匂いはレストラン、お土産品店、衣類や吐息から発せられているのだろう。その渦中にいると感じなく、しばらく離れると感じる。この様に、一歩離れてみると普段気がつかないモノが見えてくるものである。

韓国の名刺の使い方は多様だ。一般の店では、箱の中に店員の名刺を山ほど積み上げ、どうぞお持ち下さい、である。コーリングカードと言った分類に属すると思うがあまりあとで電話することも無いようなので、ショップカードと言った方が良い。

若い女性は可愛い名刺カードを持っている。数年前日本でも女子高生の3種の神器(こんな言い方は正しくないが)の一つに名刺が有った。つまり、コミュニケーションツールである。このころの年頃は、仲間意識の保持の為、流行の「なにか」を持ちたがる。最近はポケベルやらPHSやらを経て、プリクラであろうか。韓国ではファッション名刺と称して、コンビニなどで販売されている。

勿論、ビジネスでの名刺の使い方は日本と全く同じである。大手企業では、入社した社員の名刺を作る。ブルーカラーの人の名刺も作るらしい。社員は名刺を親戚に見せたりもする。つまり、社会人のIDみたいなものである訳である。実は私も初めての名刺を両親に見せた記憶があるのだ。声をかけた女の子から名刺を貰う時、「お父さんが作ってくれたのよ」なんて言われたら先に進まなかった、なんて話しはIDの守護神のことか。

当然、文字はハングル文字である。しかし、普段漢字は使わない人も、名刺には漢字を併記する。場合によっては英語も併記する。しかも、レイアウトはホワイトスペースも十分とってスッキリしたい。作る人は大変だろう。

さて、沢山の名刺を集めて気がついた。重ねて見ると大きさがバラバラなのである。3ミリぐらい違う。そこで、日本人から貰った名刺数百毎と勝負(比較のこと)してみた。やはり・・。日本の名刺は、どこから入手しようが、誰が印刷しようが、いつ貰おうが大きさが同じである。1ミリ以内には収まっているのである。おおっと、深呼吸してしまった。紙が違うのである。

恐るべき日本の印刷業。こだわりの用紙メーカー。キムチたっぷりのチゲ鍋の前で、うなる程凄さを感じた。


(澤季里、Kisato Sawa:サンノゼ在住)


●このエッセーは、毎週水曜日掲載・10回連載の予定です。お読みになった感想など御寄せいただければ幸いです。・・・名刺博物館管理者


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